『サビアントークライブ』&『12星座を深堀る!』について

最近参加ないし実施した、占星術関連のイベント講座についてのメモです。

サビアトークライブ』に行ってみて

すずきふみよし、北原サビアン両氏によるトークライブ形式の公開勉強会で、12星座をさらに細分化し、象徴的な詩文を与えるサビアンシンボルを一度ずつ取り上げて、解説及び議論していくというもの。

サビアトークライブ』の特徴は、マークエドモンド・ジョーンズ、ディーン・ルディアといった、いわゆる一次資料に当たる原文や注釈に立ち戻りつつ、有名人物や音楽など両氏の知見や経験に基づいた実例紹介を加えていくことで、サビアンシンボルの“脱色”と“立体化”を同時に行っていこうとしているところにある。

現在日本で出版されている幾つかのサビアンシンボル関連の書籍は、どちらかと言うと素朴なジョーンズ版(ただし解説は難解で読みづらい)に比べ、理論的な整理が加えられているものの「精神的な進化」を重視し、ニューエイジ色の強いルディア版に依拠しつつ、さらにそこへ紹介者独自の考えや価値観が反映されているため、そこで生じる偏りや誤解を相対化できる契機となるという意味でも、本会は非常に貴重かつ建設的な場だと言える。(実際、ご一緒した参加者の方で、如実に既存のシンボル解釈に対する違和感を訴えていた方がいらしたので、そういう方のためにもこうした機会は必要だという思いが強まった。)

また、過去2回参加した実感としては、話者が一人ではなく、個性もバックグラウンドも異なる二人(しかも男性と女性のペア)であり、その言葉のキャッチボールの中に、自然と参加者が議論に混じっていくことのできる余地が用意されているという点も重要なポイントだと感じた。というか、参加者を募ったライブ形式で行っているという意味では、むしろこちらの方にこそ『サビアトークライブ』のイベントとしての付加価値はあるとも言える(有難いことにトークライブの映像はYoutubeに上がっている→ので、無料で視聴することができる)。

個人的にはこうした本会の特徴は、これまで「紙と文字」を通して、密室の中で生産され、かつ消費されてきたがゆえに、「作者がオリジナルに込めた意図」が重視され、結果的にそれをきちんと理解し受け入れるか、無視するかの二者択一を迫られざるを得ないというサビアンシンボル(占星術の一分野)をめぐるシーンに対抗するものであり、シンボルを享受するという意味ではより自然な方法に通じるものであると受け止めている。

シンボルの読解には本来「正解」も「誤解」もありえない。したがって、サビアンシンボルもまた、その起源が明確な「作品」として鑑賞され、また「作者の意図」を過度に称揚されるのではなく、炉端や宴など、公共の空間で語られ、親しまれる昔話−物語のように、大衆へと解放される方が性に合っているのではないか。そのためにも、いったん原典に立ち戻るという形で地ならしを行った上で、自分たちなりに(楽しみながら)アレンジをしてみせるというのは、シンボル本来の豊穣さを復権させるやり方として至極真っ当なものだろう。そういう意味で、私は『サビアトークライブ』には可能性を感じているし、できるだけ今後も参加させていただきたいと思う。

次回は4/20(土)にあるとのことなので、興味持たれた方はぜひ参加してみて下さい。
詳細は→


『12星座を深堀る!』をやってみて

先月末に大阪カイロンさんで2日間の単発講座をやらせてもらった。

内容はまんまタイトルの通りなんだけど、意図としては、昨年からWeb上で連載させてもらっている「マンスリーゾディアック」という、12星座について毎月一つ取り上げ書いていく際の「作り方」を自分なりにまとめ、各サインの「本質」をつかまえる方法としてフローチャート式に設定し、参加者の方と一緒に共有していくことで、「その場なりの見解」を導くというところにあった。ただ、設定したフローチャート(6つのプロセス)がまだ荒削りだったということもあり、その紹介や進行にかなり時間がかかってしまい、1日目終了時点で1.5星座くらいしか終わらず、2日目は講師による解説+紹介メインとならざるを得なかった(3星座くらいは解説しきれなかった)ので、とても成功とは言えないが。

それでも、開催してみた実感として残ったのは、やはり大切なのは語られるシンボルの起源(作者)ではなく、宛て先へとシンボルが届けられること(読者)であり、語り手の立場からすれば、詩の朗読や役者の台詞のように、反復や改変を絶えず許容する“遊び”を残しておくこと、あるいは語り手(物語)と聴き手(場)がせめぎあうことで、その都度止揚され生成される点においてこそ、シンボルの魅力は引き出されるんじゃないかなってこと。(ちなみに牡羊座に関しては、参加者の方と一緒に楽しめたと思うので、一応例として記載しておくと、最終的につかまえた牡羊座の本質は、「自然体のヒーローは喪失と愛の狭間でフールとなる」でした。@3/30大阪カイロン教室)

そんな訳で、今後はもう少し、シンボルが語られ、また享受される「場」の方に注意を払っていこうと思う。
サビアンしかり、サインしかり、ハウスや惑星、そも占星術や占いしかり。