週間12星座占いβ版(11/7〜13)

※この週間12星座占いは、「techjo」のサイトリニューアルにあわせ、来週以降はtechjoにて毎週日曜夜に掲載・更新していく予定です。

牡羊座

「消化試合は爆破するべし」

・ドラマはイタズラ心にあり
今週の牡羊座は、いちばん身近な日常の中に「ささやかな過激さ」を持ち込むかどうか、選択を迫られそうです。幼いころ、台所に立つ母親の後ろ姿を眺めていて、ふとイタズラ心が芽生えたことはないでしょうか?母親の隙をついて、おもむろに手に取ったビンの中身を、火にかかった鍋の中に放り込めたらなんと愉快だろう!と。そんな思いつきを大人の頭で「しょうもない」と捨ててしまうのは簡単です。けれど、アリスの冒険が退屈を感じる日常の一コマの中で、「人の言葉をしゃべる服をきた白ウサギ」を見かけて、思わず追いかけたことから始まったように、日常が大きく変わってしまうきっかけは“馬鹿げたありえない”思いつきにこそあるもの。もし今あなたの中に、少しでも「なんとなく先が見えている」という気持の緩みがあるなら、一度は捨てた思いつきの入ったゴミ箱へ、頭からダイブすることも厭わないで。

・イタズラは淡々と実行する
『100歳の華麗なる冒険』というスウェーデン映画の中で、主人公のアランおじいさんは100歳の誕生日に“ただなんとなく”老人ホームを脱出し、ふいに荷物を預かり、適当にバスを乗り降りし、人と出会い、それがやがてギャングとの抗争劇へと発展していきます。牡羊座の人は、アドバイスなんてあまり聞いていられないかも知れませんが(インスパイアは別)、念のため書いておくと、いったん思いつきに従ったなら、それがどこへ導くものであれ、途中で止まらず進み続けること。アランおじいさんが素晴らしいのは、何が起きても一切自分を責めず「これで良い」と淡々と行動し続けられるところなのです。おそらく彼は、次のことわざをよく知っていたのでしょう。「やってくるこの毎日が人生だと知っていたら!(スウェーデンのことわざ)」。

・今週のキーワード
想定内からの逸脱、イタズラ、『100歳の華麗なる冒険』、インプロビゼーション、人生脚本をいじる

▼牡牛座

「ガチで遊べば新境地へ至る」

・好敵手を乞え
今週の牡牛座は、ガチンコでぶつかり合える相手への飢えが、ふつふつと沸いてきそう。ただそれは、初対面の相手に「やっと逢えたね(ソウルメイト的な意味で)」と声をかけるような感傷的な類のものではなく、「相手に不足なし!」と思わず叫んでしまうような武者震いに近いもの。それも才能や性格、置かれた境遇などで、陰陽のように相反する相手であるほどいいでしょう。理由は2つ。まずスイカに塩をふるように、そうした相手は自分の魅力を引き出し、鮮やかに際立たせてくれるから(牛さんは食材を生かす食べ合わせが命!)。次に、そうした結びつきは本人たち以上に、周囲にとって大きな影響を及ぼし、また必要とされ、“結果的に”長続きするケースが多いからです。逆に似た者同士の縁というのは、本人たちにとっては心地がいい傾向にありますが、一時的な関係で終わりやすいのです。性格や価値観などが大きく違うと、理解しあえず傷つけあうこともありますが、実は「お役目」を果たしている側面もあるのだ、ということも頭の隅においてみてください。

・遊びこそ真剣に!
ちょっと真面目な流れになってしまいましたが、今週を素直に過ごすヒントとしては、終始「遊び」モードを貫くこと!これに尽きます。深刻な顔も、大仰な態度も、今のあなたには必要ありません。真剣勝負というのは、本来体が震えるほど楽しいものなのですから。空想や妄想も大いに飛翔させ、熱狂の渦へと果敢に飛び込んでいきましょう。据え膳食わぬは牡牛の恥とばかりに、人としてというより、一個の生物としてのリズムや波長に身を委ねてしまってください。あなたさえそういうモードに入ることができれば、今なら何をしても許されます。たぶん!

・キーワード
項羽と劉邦、ソウルメイトよりライバル、スイカに塩、結縁もお役目、生命潮流に身を任せる、武者震い

▼双子座

「自分自身の歌を歌おう」

・違和感こそ自分事
今週の双子座は、「鋭い違和感」をどう処理したものかという迷いが出てきそう。これは特に、大きな影響を受けてきた人物や考え方に対してのもので、あなたはそんな自分に戸惑ってしまったり、「いけない考えだ」と押し殺そうとするかも知れません。けれど、人からの教えやロールモデルというのは結局「他人事」です。そこに依りかかっている限り、歩む道は受けたサポートと同じ程度にしか伸びていきませんし、本当の意味で自分自身の人生が始まることもないでしょう。その意味で、違和感とは新しい自分が生まれてくる兆しであり、「胎動」なのです。忌むべき対象としてではなく、「ついに自分のところにきてくれた」と迎え入れてあげてください。

・動き出しは素朴に
胎動が始まったら、余計な手を加えてややこしくせず、ただ自然と生まれるに任せておくのが一番。けれどこの「余計なことをしない」というのが、なかなか難しい。たいていの人が、違和感をその手でかき消してしまいます。その点で、作詞家・阿久悠の『書き下ろし歌謡曲』(岩波新書)の冒頭の書き出しは、実に耳が痛い。「前略 歌が空を飛ばなくなったと申し上げたことがあります。もう十五年も前になりますか。また、ヘッドホンで聴く歌は聴くにあらず、点滴であると危惧したこともあります。そして近くには、ミュージックはあるがソングはない、です。ずいぶん嘆きつづけているものです。特に、ソングはないということは言葉がないということで、これはいささか、はやりすたれとだけ云っていられない気持になります」。違和感を、さりげなく日々のルーティンのリズムに乗せて、即興劇でも演じるようにソングを歌う。その感覚のきっかけだけでも掴めれば、今週は万々歳と言えそうです。

・今週のキーワード
違和感は胎動、余計なことはしない、ただ祝う、即ちソングを歌う、作詞作曲イラスト漫画スケッチ創作活動

▼蟹座

「過去をお手玉する」

・上手に風邪をひくには?
今週の蟹座の星回りからは、「ソワソワ感と妙な落ち着き」の両方が表れています。もともと蟹座の人というのは、自分のテリトリーを異分子に乱されることをひどく嫌う傾向にあるのですが、今週はむしろそんな事態をどこか待ち望んでいるような節さえあるのではないでしょうか?これは、体が「風邪」をひいている状態に近いと言えます。体内に入ったウィルスが増えていくと、気の流れがどんどん高まり、免疫活動が活発に行われていく。そうやって、季節の変化などに対応するため、体が全体のバランスを変えようとするときに、風邪という形をとる訳です。その意味で、異分子というのは、少し先の未来から挨拶にやってきた使者であり、「今のうちから少しずつ慣れておくように」というある種の宇宙的気遣いなんですね。これは頭で分からなくても大丈夫。体が先に対応してくれるので、あなたは落ち着いてどっしりと構えていましょう。

・崩してから整える
注意すべきは、「ウイルス」を偏狭な頭でシャットアウトして、安易に現実を単純化してしまわないこと。気持ちに余裕がない時は、どうしても、一発で問題解決できる手段を選びたくなるものですが、それではせっかくの体と宇宙の共犯関係が台無しになってしまいます。今週はむしろ、きたる将来へ向けて、もとのバランスを崩していかなければなりません。もし不安が強い場合は、騙されたと思って以下のエクササイズを実行してみてください。まず、これまで自分が築きあげてきた環境、継続している習慣、努力の成果を、手のひらサイズの「玉」のようなものとして思い浮かべる。次に、それらを順に空中へ投げて、頭の中で「お手玉」していく。その際、手から玉が離れると同時に、玉に対する執着が剥がれ、消えていくようイメージするのがポイント。最初はスムーズにお手玉できないかも知れませんが、何事も慣れです。ぜひお試しあれ。

・今週のキーワード
『風邪の効用』、野口晴哉、これまでのバランスを崩す、お手玉エクササイズ

▼獅子座

「体張ってナンボ」

・天岩戸神話
今週の獅子座は、「強い光を浴びる」時。プロデューサーや監督のように舞台裏から指示するのでは物足りず、大物女優のようにポーズをとって、文字通り体を張って人前に立ち、ついでに追加のライトを要求するくらいの強い自己主張が求められる、そんな星回りなのです。ただそれは高飛車になって周囲を見下し、ケチな自尊心を保つために安全領域に引きこもるのではなく、そこから一歩踏み出し、最高の自分を見てもらおう、我が身に宿る情熱を肌で感じてもらおう、という一つの賭けに出るということでもあります。獅子座の人というのは、批判に弱く、傷つきやすいくせに、やせ我慢を決め込みたがるという、なかなか面倒臭い人種でもありますが、だからこそ今週の一歩には大きな価値があるのです。体を張るべき理由を、今一度思い出そう。

・己を鏡に問うべし
天龍源一郎というプロレスラーを知っていますか?昨年65歳で現役を引退するまで、同年代のレスラーのほとんどが引退するか、解説者に回る中、つねにリングで活躍し続けてきた、日本プロレス界の「生ける伝説」です。彼には『天地に愧じず(はじず)』という著書があり、その帯には、「男は闘い続けなければならない。常に前進するタフネスを身につけるにはどうすればよいのか。天龍源一郎の激しい生き様が、闘うことを忘れた男たちに、真っ向勝負の大切さと、男の誇りについて問いかける」とあります。著作名にもかかっている孟子の言葉「仰いで天に愧じず」とは、「心にも行いにもやましいことが少しもないのなら、天に対して何ら恥ずべきことはない」の意。なお彼は引退の際、「妻の病気で、今度は俺が支える番だ」と述べましたが、彼の踏み出した一歩はまさに今週の全獅子座人が見習うべきでしょう。

・今週のキーワード
光を浴びる、安全領域から一歩踏み出す、天龍源一郎、「仰いで天に愧じず」、体を張った賭け

▼乙女座

神隠しへGO!」

逢魔が時
今週の乙女座は、普段ならあまりまとうことのないような、「スキャンダラスな空気」に包まれています。日頃行き来している日常空間からフと道を逸れ、見慣れない路地裏や非日常への扉の先へ、思わず歩を進めてしまうかも知れません。あなたも“箸が転んでもおかし”かった思春期の頃に戻ったように、いつもの帰り道がどこへ通じ、両足はどこへ向かうのか、自分でもコントロールできないような状況を、どこか楽しんでいるところがあるでしょう。夜道でふいに三叉路に出会った時の、不安と期待が入り混じったような、なんとも言えない気持ち。「まだ名前のついていない感情」。そうしたものをエネルギーに変えることで、少女は巫女となって異界と交信し、放課後の誰もいない教室で未来をひとり占うのです。

・魔が差す
少女にとって少年とは、自らを異界へ誘う「異人」であり、触れると自分がすっかり変わってしまうような、きっと最後まで分かり合えないような、胸のうちに期待と不穏を同時にをもたらす存在。彼らの手を取るか離すか、それは丁か半か、吉と出るか凶と出るか。今週の乙女座の行く末を左右するのは、そんな「性なき恋愛」です。それは友情の延長なのか、ただ純粋な「好ましさ」なのか。はたまた、日常の現実とは異なる次元で展開される一夜の夢のようなものなのか。例えば柳田國男の『遠野物語』には次のような一文があります。「遠野郷の民家の子女にして、異人にさらわれて行く者年々多くあり。ことに女に多しとなり」。おそらく少女たちは少年に導かれ、これまでの日常からは見えなかった新しい居場所を見つけ、そこへ移っていったのでしょう。関わる人間関係が変わり、目に映る景色や住む世界も変わってしまえば、それはこれまでの日常から「神隠し」にあったも同然なのですから。

・今週のキーワード
日常に潜む非日常、大分麦焼酎「二階堂」のCM、未来を占う、『遠野物語』、性なき恋、日常の景色が変わる

▼天秤座

「バトンをつなぐ」

・忘れていたピースを探す
今週の天秤座は、「さりげなく伝えられた大切なメッセージ」に、気が付くかスルーしてしまうか、その危ういラインに立っているような星回りです。このメッセージというのは、過去に人から言われた言葉だったり、本で読んだ一節だったり、以前買っておいたモノだったり、形は人それぞれでしょう。大事な点は一度忘れていたものであること。こう書くと、まるで「雲をつかむ」ような話に聞こえるかも知れませんが、もしあなたが、ここ最近「別段間違った選択はしていないと思うけれど、なんとなくまだ決定的なピースが埋まっていない」ような、何とも言えない心許なさを感じているなら、メッセージを探してみてください。うまくいけば、バトンをつなぐような感覚を通じて、この秋自分が下した判断やなんとなく取った選択に一本筋が通っていくはずです。

・心許なさをごまかさない
「弟子が準備できたとき、師は現れる」という言葉がありますが、占星術家ディーン・ルディアはその続きとして「師は必ず偽装する」という言葉を付け加えるべきだと述べています。これは、「どこが好きなの?」と聞かれてスラスラと答えられるような「好き」は、本当の「好き」かどうか怪しいものだといことです。天秤座の人って、何をしてもどこかスマートさが漂うのですが、「師に逢うては師を殺せ」という禅の公案くらい、今週はそんなセルフイメージをバッサリ切り捨てるくらいの覚悟が必要かも知れません。その場ではうまく言葉にできず黙ってしまったとしても、後になって突然パッとわかったり、腑に落ちることがありますが、「メッセージ」も頭で考えた偽装がとれて初めて、ひらめくようにやって来るものです。心許なさをごまかさず、自らの内なる対話に意識を向け、じっと耳を澄ますよう、どうか心掛けて。

・キーワード
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、メッセージボトルを開ける、「師に逢うては師を殺せ」、内なる対話

蠍座

「心にモナ・リザの微笑を」

・不動の座につく
今週の蠍座は、自らの肩書きやポジションについて、まだ曖昧なその輪郭を明確に描き出すチャンスが与えられます。いま自分が引き受けている役割や目指すべき方向性が、本当に自分の身の丈にあっているか、そこで得られるものは本当に必要か、こころが喜んでいるか、よくよく自分自身に問いかけてみてください。分不相応な看板は、自分という人間そのものの存在価値を測るためのこころの声を小さくしてしまうだけ。そうならないためには、自分の器以上のものは外から取り入れず、その器をすでに満たしているものをまずきちんと感じきること。それが、自らが選んだ運命に対する受容のサインとしての微笑となり、あなたがセンタリングするべき不動の座となっていきます。『モナ・リザ』の絵を見た人は誰もがまず最初に不可解さを感じますが、程なくして、それは描かれた女性の表情にまったく「媚び」がないからだということに気が付きます。

・輪郭線と含み
蠍座の人というのは「沈黙は金」ということを本能的によく知っています。ですが、今週に関してはあなたが何を大切にし、どんな確信を抱いているのかを、こころで感じるだけでなく、人に伝えるための言葉に変えていってください。言い方を変えれば、「感情の深さだけではダメ、明晰な思考と結びつけて」ということ。思えば『モナ・リザ』の作者レオナルド・ダヴィンチも、アートとサイエンスの垣根を超え、感性と理性を統合できた人でした。深い情熱の持ち主というだけでなく、極めて客観的に己を律することのできる人物だったのです。「明晰さ」。すなわち、不安や恐れや疑心など、こころの中の不純物をキレイに振るい分け、できるだけ上澄み部分を掬いとって言葉にするだけの冷静さを持てるよう、どうかあなたも心がけて。こぼれた微笑が最上の言葉へと変わりますように。

・今週のキーワード
自然にこぼれる笑み、表面張力、レオナルド・ダヴィンチ、心理学的な統合の試み、上澄みを掬う、MEISEKI!

▼射手座

「摘んだ花を手向ける」

・終わり際の作法
今週の射手座は、先祖のお墓にお供え物をして静かに手を合わせることで、結果的に見えないところで帳尻が合ってくるような、そんな星回りです。おそらくあなたは今、ひとつのサイクルの終わり際に来ていて、その踏ん切りをどうつけるかが問われている。もちろん、行儀や礼節など気にせず、さっさと次のサイクルや新しい景色を楽しみ、前に進んでいくもよし。ただ、「自分はどうしてここまでこれたのか」と胸に手を当てて考えてみたとき、いつかの思いがけない幸運や誰かの善意が浮かんでくるのなら、そこで一度立ち止まるようにしてください。あるいは表層の時間の流れとは別の、深い静かな流れの中で、私という現実を夢見ているもうひとりの<私>へ花をお供えするような、そんな時間を持つのもいいでしょう。

・枯れないうちに花を摘もう
ノブレス・オブリージュ(直訳すると「高貴なるものに伴う義務」の意)」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。単純に受け取れば、既得権益層たるもの、持たざる者や自分より恵まれていない人に施しをする責任がある、ということなのですが、今週のあなたにとってこの言葉は先の解釈と少し異なる意味で重みを持ちます。それは、自身の体験から得られる教訓や戒めをきちんと「刈り取り」「摘む」こと、そして、手元に残すものは必要最低限にとどめ、それ以外は分配することに対する義務です。誰かの善意が、他の誰かの元に届くように。繰り返しになりますが、もしあなたが「私は自分の実力ひとつでここまできた」と言い切れるならば、ここでそんな義務を負う必要はないでしょう。ですが、ひとつ心を鎮めるつもりで、どんな花を摘むべきか、どこにそれをお供えするのか、1時間でもいいので、時間をつくって考えてみてください。

・今週のキーワード
ノブレス・オブリージュ、現実は個人的か集合的か、「お手手のしわとしわを合わせてしあわせ」、なぜ人間は死者へ花を供えるのか

山羊座

「語れ、生き延びるため」

・風に抗う(あらがう)
今週の山羊座は喧嘩上等。強い魂を胸に、今後の一連の行動の仕方を決め、淡々と実行していく胆力が試されそうです。日本社会というのは、何か不祥事が起こると糾弾されて辞任に追い込まれるか、土下座をして謝る、あるいはそうならないよう、徹底的に空気を読んで同調圧力に馴染むこと、これすなわち生き延びる知恵なりといった風潮がかなり強く存在します。ですが、空気を読むこととそれに流されることは本来まったく違うはず。もしあなたが今少しでも、ひとりの人間として確保されるべき権利や尊厳が侵害され、踏みつけられているのなら、あるいは、そうした過去の自分と重なる他者が目に映っているのなら、アラートを立てましょう。非常事態を告げるベルを鳴らしましょう。口をつむぐのでなく、生き延びるために語りかけましょう。

・敵の懐に飛び込む
とはいえ、さっさと特定のコミュニティーとの縁に見切りをつけたり、生きづらさを生み出した構造をくだらないものと切り捨てるだけでは片手落ちです。むしろ、その内側で求められる「役割」を完璧に演じ切り、そのために必要な投資を算定し、周囲へいかにそれを訴えかけるか、といった自分や目に映る他者の生存戦略を徹底的に考え抜くことが、現在のあなたの課題。太平洋戦争開戦直前の日本で諜報活動に従事したソ連スパイ・ゾルゲのごとく、警戒心とコミュニケーション能力と交渉能力をフルに発揮して、ロジカルかつ具体的な活動プランを練り上げ、生き延びるための道を模索してください。必要な情報の集積と、クリアな思考の両者がそろって初めて、インテリジェンス(生き延びる能力)なのだということをゆめゆめ忘れずに。迷ったら、敵の懐に飛び込もう。

・キーワード
喧嘩と胆力、インテリジェンス、リヒャルト・ゾルゲ小池百合子氏の好みのタイプは「ケンカが強い人」

水瓶座

「不敵な笑みを崩すなかれ」

・目はまだ死んでいない
今週の水瓶座は、マンネリ化したパターナリズムや居心地の悪いカテゴライズ、くたびれたレッテルとどれだけ縁を切れるか、その本気度に焦点が当たっていきそうです。ただし注意しておきたいのは、それらと完全に縁を切ることはできないし、また華麗に“自由”を勝ち取る夢物語は人をダメにする、ということ。60年代ハリウッドの名作『大脱走』でも、スティーブ・マックイーン演じるヒルツ大尉や他の捕虜たちがドイツの捕虜収容所から脱走を試みますが、自由への期待が大きすぎる者は一度の失敗で錯乱し、命を落とすか、完全に諦めてしまう羽目に陥りやすい。一方のヒルツはこれまでに脱走回数17回、他のまだ目が死んでいない捕虜たちも軒並み回数が多いことが分かります。みな一度は脱走に成功しても、ほどなく連れ戻されて、ということを何度も繰り返してきたのです。

・懲りずに続ける気概を育む
大脱走』の印象的なシーンの一つに、脱走に失敗して連れ戻されるたび、ヒルツが独房に座りながらコンクリートの壁に向かってキャッチボールをするシーンがあります。何度も何度も響くボールの音。そして、不敵な笑み。まるでこうなることなど最初から織り込み済みだったと言わんばかりに……。それを強がりだと、あるいは脱走作戦そのものを無駄なことだと言う人もいるでしょう。それでも、やはりあの不敵な笑みを見ると、彼がその瞬間、誰にも支配することのできない「不屈の魂」の感触をグローブ越しに感じていたのではないかと思わざるを得ません。自由の実感だけは忘れないよう、囚われの身を甘受することなく、今週も懲りずに脱走を図るべし。

・今週のキーワード
大脱走』、アンチヒーローとしてのスティーブ・マックイーン、壁とキャッチボール、不屈の闘志

魚座

「しぶき飛ぶダムの放水のごとく」

カタルシス
今週の魚座は、ようやく「タガを外す」チャンスが出てきそうです。自分のやりたいことを堂々と始めていく人もいれば、恋にのめり込む人もいるでしょう。ここしばらく、周囲や特定の相手がどう出てくるかを気にして、あるいは自分の中でまだ準備ができていなかったがために、思い切った態度や言動に出れずにいた人も多いのではないでしょうか?そうであればあるほど、今週は堰を切ったように行動力や情熱に怒涛の勢いが出てきます。ただしそれが外野を無視した自己満足となるか、むしろ周囲に対し勇気を持って自分の立場や心情を明らかにしていく方へ転ぶかは、あなた次第。既に心の中に溜まったイメージをどれだけ「神聖なもの」として感じられているか、その一点によって決まってくるでしょう。心してください。

・自分の主観を最優先する
スティーブ・ジョブスが2005年にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチは、とても有名なものなので、見聞きしたこともあるかも知れません。余裕があれば、魚座の人は今週の始めか、タガを外す前に、今一度彼の言葉に耳を傾けるといいでしょう(親切な人たちが和訳文をネットにあげてくれています)。ジョブスはそこで、「たまらなく好きなものを見つけなければならない」と繰り返し語りました。あるいは「何かを信じなければならない。直感、運命、人生、カルマ、その他何でも。この手法が私を裏切ったことは一度もなく、私の人生に大きな違いをもたらした」、「自分の心と直感以外はすべて二の次」であり、そして「点はあとになってつなぐことしかできない」と。夜空の星座もまた、最初の点が人の想像力によって打たれなければ、線がのび、像を結ぶこともなかったはず。遠慮は無用、余すことなく自らを一点に注ぐべし。

・今週のキーワード
ダムの放水、「たまらなく好きなもの」、果断と神聖、スティーブ・ジョブススタンフォード大学卒業式のスピーチ、点を打ちこむ