牡羊座6度:大地・人柱・社畜

最初から一気に5度まとめて書こうとするとどうしても億劫になってしまうので、
一度ずつ書いていって、5度揃ったらまとめと共に一つの記事にする、というやり方でしばらく書いていこうと思います。

牡羊座6度:大地への没入(人柱・社畜になる)

【Jonesシンボル】「A square lighted on one side(一辺が光輝く四角形)」
【Jonesキーワード】SET 安定/舞台を定める

ヘルメス思想において、四角形とくに正方形は「□」と「◇」という区別でもってそれぞれ、
四つ一組のもの(この世を形成する火地風水のエレメント)の静的・動的な相を表しており、
同様に「翼の生えた三角形」が「四角形」となる5度から6度への流れは、ある個人において、
純粋な精神の躍動が一段落し、環境や世界へと定着・稼動していく流れをよく映し出している。

手持ちの辞典(『世界シンボル辞典』 J・C・クーパー、三省堂)のスクエアの項目を開いてみると、「遊牧民の天幕や野営地が動的で無限の動きを表す円の形に作られているのに対して、正方形は、農耕定住民族の不動性をあらわす」という一文があった。

これは、ここ数年流行ってきた、働く場所を一つに決めず「旅」をスタイルとするノマドワーカーが、ついに勤務地という自らの「大地」を定め、そこへ出勤し始めるという姿を思い浮かべると分かりやすいだろうか。あるいは「社畜」。古い言い方だと「人柱」。

ただ社蓄や人柱だなんて言葉を聞くと、
個人の自由が失われ、環境に閉じ込められて息苦しさを感じるという、
この度数のマイナスイメージばかりが連想されるかも知れないが、
ジョーンズは、この度数を(場を得ることによって)「持続する」という体験のシンボルであり、
その過程で個人が活かされ、力や業績、正当な評価などを得られれば、
自らを取り囲む物質的現実が、単なる幻影であることに気付くはずだといったことも述べている。

精神が本来もつ自由を奪う囲い地としての社会、制度、慣習、しがらみ。
ただそこに存在するあらゆる事物の根源には、必ず「秩序」や「法則」が宿っていて、
そこに触れ、あるいは同調し、恩恵にあずかることができれば、
ノマド的自由で得られる一時的な快楽など何ほどのこともない、
という考え方は、確かに魅力的に思わされるところがある。

さきほどのシンボル辞典には、
「正方形の三辺は神の三つの側面、残りの一辺は神の全体性を表す」という記述もあったが、
ジョーンズの「一辺が光輝く」という表現も、あえて大地へ埋没することで、
そこに何らかの神性を見出そうという強い衝動を表しているのかも知れない。

正方形は、ギリシャローマ神話においてもアプロディテ/ヴィーナスの持ち物であり、
豊穣や多産の象徴でもあった。

大地を通じこの世と深く交わる(生き埋めになる)ことで、初めて何かを生み出すことができる。
そういう示唆を、この度数は与えてくれそうだと感じる。

ポジティブな状態:自らが拠って立つ場や環境への強い思い入れと情熱
ネガティブな状態:説得にまったく応じない頑固さ、思い込みの激しさ、固執