3/20春分図について

毎年春分の日は、12星座がぐるーっと一周してスタート地点に戻ってくる、
占星術上の新年であり、新しい年度の1年を象徴的に表す大事なタイミングでもあります。

そういう訳で、
あす春分20日14時14分@東京)を迎える際のホロスコープについて、こちらに少し思うところを書いておこうと思います。
上なるものって、時に面白いくらい下を表したりしちゃうので。

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今回の春分図で何と言っても目立っているのが、天頂の木星と金星のゆるやかな連合。木星はMC(天頂)と2度以内でぴったりと重なっており、金星も品位が高く、かつ上昇星とも見做せるほど勢いがあります。また、この金星・木星の合は、3月14日にぴったりと重なって、逆行中の火星(乙女座)、そして2008年から山羊座入りしている冥王星とで正確に「(地の)グランド・トライン」を形成しましたが、どうも個人的には、このグランド・トラインの刻印を引き継いだ上で、春分の日に天頂まで上がり、社会に対する影響力の大きなロールモデル(MC)として臨んできているように思えます。

14日のグランドトラインについては、こちらの記事(http://www.asteridea.info/message.html)で「態度経済」という坂口恭平さんの言葉と絡ませて詳しく述べてみたんですが、ここでその要点だけかいつまむと、「頭の中に潜んでいるいろいろな恐れを克服し、自分なりの生き様を実生活や収入・支出に反映させた、脱・グローバル経済システムの一歩として、新しい経済圏を身のまわりに作ってみようDIY)」といったムーブメントの流れを暗示しているんじゃないか、ということです。まぁここまで言っちゃうと正直、大風呂敷かなとも思うんですが、「恐れの克服」ということに力点を置くなら、これくらい能天気でいった方がいいんじゃない?ということで、さらに続けます。

そういうムーブメントの流れを汲んだ上で、春分図では、もっとも影響力のあるイメージを担う木星が牡牛座10度に、そしてその強力なトリガーとして働いてくれそうな金星が牡牛座15度に位置しています。星座だけでなく、各度数にもちゃんと固有の意味があるので、それぞれ触れていくと、まず牡牛座10度というのは、「自分の庭の花に水をやる人」という意味があります。この場合の「庭」というのは自分の資質や才能、広い意味での財産を意味していて、更にそこに咲く花に水をやるというのは、頭の中の不安ではなく心の飢えを充たしてくれる活動に心血を注ぐことに通じていきます。これが社会の中でロールモデル化していくので、今年は、「自分なりの感覚をフルに発揮して、心から楽しいと思えることや気持ちいいと感じることに打ち込んでいる人」ほど勢いを得て、台頭していくのかも知れませんね。あとは庭から育つ花=美意識ということから、「美意識」というのもキーワードです。

そこに重なる牡牛座16度は「老人教師が授業に失敗」。一聞してなんじゃそりゃ?って感じですが、ここで暗示されているのは、経験を重ねる内にいつの間にか老いてしまった教える側と、教えを乞おうと向き合う生徒ないし大衆側とでの埋まらない溝や世代間格差です。手持ちの事例やネタがすっかり使い古されて時代状況にそぐわないものになってるのに加え、合間にはさむギャグは滑るどころかまったく通じない…。そんな一見悲惨な光景ではあるんですが、これはある意味で、これまで自分が無意識に寄りかかっていた既存のやり方や現状そのものに違和感を覚えて、あれもダメこれもダメと、試行錯誤を重ね始めるプロセスの始まりでもあります。それを金星が担いますから、特に金銭に関わる経済的な場面、あるいは、何らかの「所有」の問題や身体性を介して意識されやすくなってくる。

つまり、文字通り“身のまわり”の経済活動において、「いつの間にか頭の中が硬直化してしまっていた自分への違和感」をきっかけに、「心の底から正直になって自分が気持ちいいと思えることに打ち込み、嘘やごまかしのない生き方をしている人」をロールモデルとして見習っていこう、実践していこう、というのが今年の風潮なのかなと。

これは例えば、これまで恥ずかしさからギュッと抱え込まれていたり、そりゃ無理だと口を塞がれていた心からの思いや願望が、外部へ通じるチャンネルを得て開放されていくというイメージにもつながるし、そうなればその内の何割かはネットや人のつながりを介して、実際に具現化されていくだろうとも思います。ただ、7室の月・海王星の合なんかを見ると、あんまりプライベートな感情や本心までパブリックな場に晒し過ぎちゃうと、大事なものまで壊されたり荒らされたりすることもあるから、くれぐれも慎重に。っていうツッコミも入っているので、そのへんの情報開示における境界線の引き方が明暗を分ける必須スキルとなってきそう。とは言え、あまり防衛線をはられすぎると、それはそれでエコヒイキできないし、見てる方・応援する側の面白味もないですけどね。

それから、自分の稼ぎや財政状態を表す2室にある乙女座火星(逆行)と、思想や哲学を表す9室の牡羊座水星・天王星合は、それぞれバラバラに見れば、地味〜なとこでの浪費傾向と訳の分からん世迷いごとへの傾倒という感じですが、この場合ミューチャル・レセプションといって、互いの切り札を人質にとって同盟組んでるような状態なので、ある程度の連帯を持って互いを助けあいます。つまり、既存のものとは異なるオリジナリティーのある考え方やそれを主張する人物の影響力が、個人における稼ぎ方や経済活動においての自発的挑戦を促進していくし、その逆の流れもまた考えられるということです。(このあたりも、メッセージ性のある言葉や概念と、身のまわりの経済圏との関連を暗示していて興味深い)



▽2012年春分図まとめ

見知らぬ誰かから用意された、薄汚れた砂場ではなく、自分の庭を耕して、そこで遊ぼう。
ガーデニング的快楽を、楽しもう。できれば、食い扶持もまかなってみよう。そうやって、自分の世界を育てよう。



参考概念:
「態度経済」(by坂口恭平
「アヴァン・ガーデニング」(byハキム・ベイ)